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2023.02.16

クレーンレール測定ロボット「診レール」による測定サービス

技術紹介

クレーンレール測定ロボット「診レール」開発の経緯

クレーンレール測定ロボット「診レール」をご紹介します。
これまで、プラント解体会社の3D計測チームとして、お客様先工場の天井クレーンにて、クレーンレールの歪みを、3Dレーザー計測でレポートしていました。測量機器を使って測定していた従来方法から、3Dレーザー計測を採用したことによって、ガーダー上に作業員が登らずに、高所からの落下や、設備への接触による感電等を回避できました。しかし、結果の出力に関しては、数週間かかっていたため、お客様よりスピードアップを望まれ、何か方法はないだろうかと検討したのが、クレーンレール測定ロボット開発のきっかけです。

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従来方法の問題点

クレーンレールの歪みを従来の測量で示すには、数々の問題がありました。

  • 測量作業にて、作業員の高所からの落下や、設備への接触による感電・けがの危険があった
  • 測量結果のまとめに時間がかかっていた
  • クレーンレールの亀裂や摩耗等、状態を目視するには、時間的にも、危険を伴う高所作業的にも問題があった
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    三つの特長

    ベステラが提供するクレーンレール測定ロボット「診レール」を活用したクレーンレール測定サービスは、前述の問題をすべて解決します。三つの特長をご紹介します。

    遠隔操作

  • 作業員がガーダー上で作業する必要がなく、安全性が高い
  • 作業員がタブレットで操作
  • 移動距離やスピードの設定が可能
  • 両レール上を、それぞれ往復で走行し、データを取得
  • Wi-Fi(2.4GHz+5GHz)による通信
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    帳票自動化

  • 測定直後に帳票を出力でき、大幅な時間短縮となる
  • 測定間隔を短く指定した場合、従来方法では、その分、測量時間がかさむが、「診レール」では、事前の設定のみであるため、従来方法の測量に比べ大幅な時間短縮となる
  • うねり・高低差・勾配差・左右スパンを計算可能
  • 基準とのズレが〇mm以内なら合格、といったような判定閾値をマニュアルで設定可能
  • 帳票結果をCSVで出力可能
  • 帳票作成に使用した座標データをCSVで出力可能
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    内蔵カメラ

  • 測定位置を、高精細カメラによる撮影で、レールの状態を確認
  • 摩耗や亀裂を高精細な写真で確認
  • 5つのカメラでレール頂部からネックまで撮影が可能
  • 事前に設定した測定箇所以外にも、タブレットで操作し、任意位置での写真撮影が可能
  • LEDライトによって、暗い現場でも撮影が可能
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    現在「診レール」が対応するレール

    レールサイズ

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    現在、「診レール」が対応しているレールサイズは、JIS規格の30~60kgレール(表参考)です。73, 74, 100, 101Kgレール対応版を開発中で、今後も多くのサイズに対応できるよう継続して開発を進めてまいります。



    レールの固定方法

    レールの固定方法によっては、「診レール」の走行が困難な場合があります。「診レール」を設置した状態で、レールに接触しないようクリアランスを確保する必要があります。 フックボルトで固定している場合、「診レール」の走行が困難です。お客様の設備が、どのようなレール固定方法なのか、ご相談ください。

    測定に必要な環境

    「診レール」を使用してレールを測定するには、レールの状況以外にもいくつかの条件が必要です。 下記の通り、簡単にご紹介します。

  • スタート地点付近に設置した測量機器と、2本のレール上を走行する「診レール」との間に、視線を遮る障害物が無いこと
  • 「診レール」の操作は、ワイヤレスで行うため、施設において、Wi-Fi 2.4GHz、5GHzの使用が可能なこと。(構内ルール等で利用できる周波数帯に制限がある場合、一部周波数帯を選択して走行することが可能)
  • 「診レール」走行中に、障害物に接触して走行不可とならぬよう、レール上や周辺に、ダストの堆積、障害物が存在しないこと
  • レール継ぎ目の隙間や段差が大きい場合、ロボットが走行できない場合があります

  • 測定の流れと所要時間

    「診レール」を活用したクレーンレール計測サービスは、「レールの測定そのものにかかる時間」と「測定結果出力の時間」の両方を大きく短縮可能です。一般的な天井クレーンにおいて、環境や条件にもよりますが、例えば100mのレールであれば、半日以内で準備・計測・片付け・結果出力まで完了する見込みです。

    レール長100mの測定の場合

      1. 計測機材運搬
      2. 計測機材準備(ロボット設置、Wi-Fi設置起動、タブレット起動接続、測量機器設置起動)
      3. Aレール走行(往復)
      4. Bレールへロボット運搬
      5. Bレール走行(往復)
      6. 計測機材片付け

    診レールのスペック

     速度  250mm/sec、125mm/sec
     測定精度  ± (3.0+2ppm ×D) mm ※1
     測定可能範囲  距離:0.9m~130m ※2
     高度角:+55°~ -30°
     耐環境性  防塵 (IP5x相当) ※3
     サイズ  360mm × 555mm × 320mm
     質量  11.05kg
     電源供給方法  マキタ 18Vバッテリー
     対応測距儀  杭ナビ LN-150
     周辺機器  Wi-Fiルーター、AP、LN-150、ポータブルバッテリー
     通信方法  Wi-Fi (2.4GHz、5GHz)

    ※1 JIS B 7912-4:2006準拠。Dは測定距離、単位はmm。
    ※2 ATP2/ATP2SII使用時 測定気象条件:雨天 / 濃霧 / 強い陽炎の発生等、悪天候を除く。
    ※3 自社内試験による評価に基づく。

    資料 : クレーンレール測定ロボット「診レール」によるクレーンレール測定サービス

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