え?これって計測できないの?「3Dレーザースキャナーの弱点」
3Dレーザースキャナーとは
まずは3Dレーザースキャナーについて、軽く前回のおさらいをします。
3Dレーザースキャナーとは、レーザー光を照射し、物体に当たって反射したレーザー光を受け取ることで位置座標を取得し、3次元形状を計測しています。
3Dレーザースキャナーの弱点には、データを取得するための"反射光"が関わってきます。
"光"も"レーザー"も同様で、反射や屈折といった現象が起きます。
ハイテクなように見えても、全てのものが思い通りに計測できる訳ではありません。
ここではレーザースキャナーが苦手としている代表的なものをご紹介します。
① 黒いもの
例:ディスプレイ
なぜ黒い色だけが計測できないのか、不思議に思う方もいるのではないかと思います。
この説明をするためには、まず「光」と「色」の関係性についてお話しする必要があります。
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「光」と「色」の関係性について
まず私たちが物体を"見る"ことができるのは、物体に反射した光を私たちの目が捉えているためです。
そしてこの物体に色を着けているのが「可視光線」です。
可視光線といわれても...という方は「虹の色」を思い浮かべてみてください。
端的に言えば、私たちが見ている光にはあれだけの色が含まれているのです。
ではなぜ物体ごとに色が違うのか...
それは物体が「物体ごとの色の光」を反射し、それ以外の光は吸収されているからです。
リンゴを例に挙げて説明します。
リンゴが赤いのは、「赤い光」のみを反射して、それ以外の色の光を吸収しているためです。
つまりリンゴとは「赤い光を反射しやすい物体」ということです。
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ここで、最初にした「黒色」の話に戻ります。
そもそも黒色とは何でしょうか?
虹の色には含まれていませんよね...?
黒色とは...正確には色ではなく可視光線全てを吸収している状態です。
割と有名ですが、黒色の物体は、"光を吸収する"という話を聞いたことがあるのではないでしょうか?
ただしこれは、他の色の物体も光を吸収していないわけではなく、特定の色の光を反射しているだけなのです。
以上の事柄と同じことがレーザー光にも言えます。
黒色の物体が計測できない現象とは、レーザー光が吸収され、スキャナー側で反射光が取得できないことが原因です。
基礎が分かればここからは簡単です。
② 鏡面
例:鏡、光沢のある配管など
鏡面反射という言葉をご存知でしょうか?
簡単にいえば、光を反射し過ぎている状態のことを言います。
鏡で太陽光を反射したことがあるならば分かるかと思いますが、光が1点に集中して見えますよね?
この状態では、計測機に戻る反射光が少なすぎるため計測することができません。
③ 水面
例:プール、水たまり
水面に関しては波立ちや透明度などの要素が考えられます。
しかし、結局は鏡面と同様に、反射や屈折、吸収などによって計測機に戻る反射光量の少なさが原因です。
④ 透明なもの
例:窓ガラス、自動ドア、ビニールカーテン
無色透明なものというのは、可視光線のほぼ全域の光を透過します。
そのためレーザー光は透過し、透明な物の向こう側にある物体に反射して戻ってくるため、透明な物体は計測機では物体として認識されません。
以上が3Dレーザー計測できない代表的なものになります。
次回は実際に計測できないものがどのようなデータとなるのかを、検証も兼ねてご紹介します。